2026年9月、農林水産大臣に初入閣した簗和生(やな かずお)氏。

なぜ簗和生氏が農水大臣に選ばれたのでしょうか?
簗氏には農業政策での実績がある一方、政治資金問題で処分を受けた過去もあります。
今回は、農水大臣への起用理由や農政実績、高市早苗首相との関係を詳しく紹介します。


簗和生はなぜ農水大臣に選ばれた?


簗和生氏が農林水産大臣に選ばれた理由には、これまでの農政経験と政策を実行する力が関係していると考えられます。
高市早苗首相は2026年9月17日の内閣改造で、専門知識や政策への意欲、実行力を重視した人事を行ったと説明しました。
簗氏は、自民党農林部会長や畜産・酪農対策委員長などを歴任し、農業政策に長く関わってきた経歴があります。
ただし、高市首相は個々の閣僚を選んだ理由については説明を控えており、簗氏を起用した決定的な理由までは明らかになっていません。
一方、簗氏自身は9月18日の就任会見で、農林水産分野は党内で最も力を入れてきた分野だと語っています。
また、組閣前の希望アンケートについても質問されましたが、どの役職を希望したのかは明かしませんでした。
簗和生の農政実績は?


簗和生氏は、自民党農林部会長や畜産・酪農対策委員長などを歴任し、農業政策に携わってきました。
なかでも注目されるのが、2026年に成立した20年ぶりの食育基本法改正です。
農水大臣に就任する前の具体的な実績を紹介します。
自民党農林部会長として農業政策を担当


簗和生氏は2021年に自民党農林部会長に就任し、農業政策に関する党内の議論を取りまとめてきました。
主に関わってきたのは、次のような内容です。
- 肥料や飼料などの生産資材の価格高騰対策
- 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた議論
- 農家が安定して経営を続けるための政策検討
肥料や飼料の価格上昇は農家の経営を圧迫するため、国による支援のあり方が議論されてきました。
簗氏は農林部会長として、こうした課題について党内の意見を取りまとめる役割を担っていたのです。
20年ぶりの食育基本法改正を主導


簗和生氏の農政実績の一つが、2026年5月20日に成立した食育基本法の改正です。
簗氏は自民党の食と農に関するプロジェクトチームで座長を務め、改正に向けた議論を主導しました。
今回の改正では、食料安全保障の確保につながる食育の推進や、学校での農林漁業教育、大人への食育の充実などが盛り込まれています。
簗氏は農水大臣就任後の会見でも、学校での農業体験だけでなく、大人になってからも食や農業への理解を深めることが重要だと語りました。
この取り組みは、農業団体からも評価されています。
JA全中の神農佳人会長は、2026年9月17日の就任談話で、簗氏が食育基本法改正を主導したことに触れ、「食と農のエキスパート」と評価しました。
畜産・酪農対策委員長として牛乳の需要拡大を推進


簗和生氏は、自民党の畜産・酪農対策委員長として、牛乳の需要拡大にも取り組んできました。
2026年9月18日の農水大臣就任会見では、委員長時代に牛乳の需要拡大をテーマに議論を進めていたと説明しています。
その議論を受け、Jミルクをはじめとする関係8団体が、新しいプロジェクトを立ち上げました。
簗氏は就任後も、民間団体による牛乳の需要拡大を国としてどう支援できるか、検討する方針を示しました。
簗和生と高市早苗の関係は?旧安倍派への配慮もあった?


簗和生氏は、高市早苗首相から「私の知恵袋」と呼ばれていました。
また、簗氏は旧安倍派の出身で、閣僚人事には党内の勢力関係も関係したという報道があります。
両者の関係と、起用をめぐる政治的な見方を紹介します。
高市首相は簗和生を「知恵袋」と呼んでいた
高市早苗首相は、農水大臣に起用する以前から簗和生氏に信頼を寄せる発言をしていました。
2026年2月の衆議院選挙では、栃木3区から立候補した簗氏の応援に駆けつけています。


その際、高市首相は簗氏を「私の知恵袋の簗ちゃん」と呼び、簗氏がいなければ大変だという趣旨の発言をしました。
また、簗氏は責任ある積極財政を推進する議員連盟の副代表を務めています。
高市首相も責任ある積極財政を掲げており、経済政策の方向性では共通する考えを持っています。
高市首相とはズブズブの関係?
高市首相が選挙応援で「私の知恵袋の簗ちゃん」と親しげに呼んだことや、不記載問題・失言があってもかばい続けているように見えることから、一部では



2人はズブズブの関係なのでは?
といった声も上がっています。
しかし、実態を掘り下げてみると、決して単なる仲良し優遇や馴れ合いではありません。
2人が強く結びついている最大の理由は、経済・国家観における政策方針の完全な一致です。
簗氏は「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の副代表を務めており、積極財政を掲げる高市首相の経済政策を理論・実務面から支えてきたキーマンでした。
さらに、簗氏には党内屈指の「農林部会長」「食育基本法改正の主導」といった確固たる政策実績があります。
つまり、裏で癒着しているお友達だから選ばれたのではなく、国家ビジョンを共有し、実務を任せられる政策ブレーンだったからこそ重用されたというのが真相と言えます。
旧安倍派への配慮が起用理由という報道も


簗和生氏の農水大臣起用については、旧安倍派への配慮があったという見方も報じられています。
簗氏は、かつて安倍晋三元首相が所属していた清政政策研究会、いわゆる旧安倍派の出身です。
FNNプライムオンラインは2026年9月17日、旧安倍派を取り込むことが総裁選での再選を見据えた戦略だとする、総理周辺の見方を報じました。
一方、高市首相は同日の記者会見で、今回の閣僚人事では旧派閥のバランスを考慮していないと説明しています。
旧安倍派への配慮が起用の決め手だったかどうかは、明らかになっていません。
簗和生は裏金問題があってもなぜ農水大臣になれた?


簗和生氏は、政治資金問題で自民党から処分を受けながら、農林水産大臣に起用されました。
高市早苗首相は、問題発覚後に選挙を経たことや、政策を実行する能力を踏まえて起用したと説明しています。
まずは、簗氏が受けた処分と、その後の経緯を見ていきましょう。
政治資金1,746万円の不記載で党役職停止処分


簗和生氏は、旧安倍派の政治資金問題で、2018年から2022年までの5年間に計1,746万円の還流を受けていたことが明らかになりました。
下野新聞によると、簗氏側は還流された資金について、収支報告書に実態とは異なる個人名義の寄付として記載していました。
2024年4月には、自民党から党役職停止6カ月の処分を受けています。
一方、刑事手続きでは不起訴となり、検察審査会も2025年に不起訴相当と判断しました。
簗氏は、還流された資金について、私的な使用や中抜きはなかったと説明しています。
ただ、党から処分を受けた議員が閣僚に起用されたことで、政治資金問題への説明責任が改めて問われることになりました。
高市首相は選挙と政策能力を考慮して起用


高市早苗首相は、選挙で国民の審判を受けたことと、閣僚として必要な政策能力があることを挙げ、簗和生氏らの起用を説明しました。
簗氏は政治資金問題の発覚後、2024年と2026年の衆議院選挙を経験しています。
2026年2月の選挙では栃木3区で敗れたものの、比例北関東ブロックで復活当選しました。
高市首相は9月17日の記者会見で、選挙を経たからといって過去の問題がなかったことになるわけではないと説明しています。
そのうえで、閣僚には責任を持って公務に取り組むよう求めました。
簗氏自身も9月18日の就任会見で、過去2回の選挙を経て現在の立場にあると説明しています。
政治資金問題への質問に対しては、農林水産政策を前に進め、与えられた職責を果たす考えを示しました。
簗和生は道路予算カット発言後もなぜ農水大臣を続投?


簗和生氏は、道路予算を削減したとする発言が問題となり、撤回・謝罪しました。
しかし、高市早苗首相は簗氏の農政に関する知識や政策構築力を評価し、続投させる判断をしています。
発端となったのは、2026年5月に栃木県で開かれた自民党支部の懇親会です。
簗氏は、衆院選で自身を支援しなかった首長がいる那須烏山市と那珂川町について、道路予算を大幅にカットしたという趣旨の発言をしていました。
この発言が9月末に報じられ、10月5日に撤回・謝罪しています。
国土交通省の調査では、簗氏が2自治体の予算配分について問い合わせていた事実が判明しました。
一方、井林国土交通大臣は10月9日、問い合わせは予算配分を担当する部署に伝わっておらず、配分への影響はなかったと説明しています。
高市首相も同日の参議院本会議で、簗氏の農政に関する豊富な知識と政策構築力を挙げ、食料安全保障の強化に向けて引き続き働いてほしいという考えを示しました。
まとめ
簗和生氏が農水大臣に選ばれた理由には、自民党農林部会長などを歴任し、農業政策に長く関わってきた経験があると考えられます。
高市早苗首相は実行力を重視した閣僚人事を行っており、簗氏は食育基本法改正や畜産・酪農対策にも携わってきました。
一方、旧安倍派への配慮を指摘する報道もありますが、それが起用の決め手だったとは明らかになっていません。
政治資金問題や道路予算カット発言で批判を受けたものの、高市首相は農政に関する知識と政策構築力を挙げ、簗氏を続投させる考えを示しています。











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